音楽的表現について


「音楽的」な表現?

 

音楽的表現、これも非常に奥が深いです。

例えば、楽譜には「スタッカート」や「クレッシェンド」などの演奏記号が付いています。
これは表現の一部で、確かにこういった演奏記号に忠実に演奏することによって、ある程度演奏の完成度を高めることができます。

ですが、その楽譜に忠実な演奏で聞いた人に感動を与え、歌詞の意味をしっかりと伝えられるのか。
もちろん曲によってまちまちだと思いますが…難しそうですよね。

 

楽譜には限界があります。

「スタッカート」と一口で言っても、どのくらい短く音を切るのか、激しく切るのか、ある程度余韻を残す切り方をするのか…そんなことは楽譜には書いてありません。
ですから、そんな楽譜に書いていない「あいまいさ」のようなものを、演奏者は自分自身の力で埋めていかなければならないのです。

 

そして、ここが大事なのですが、音楽的な表現力(=あいまいさを埋める力)を高めるということは、絶対に一人ではできません。

なぜなら「表現」とは、受け取る側がいて初めて成立する概念だからです。
どうしてもその表現を噛み砕いてアドバイスをくれる、客観的な視点が必要になってきます。

ここに、レッスンをすることの非常に大きな意味があると思います。

 

文 : ボイストレーナー森元勇司